在宅ワークの騒音対策|ノイズキャンセリングと耳栓、どんな音に効く?研究から選び方を考える

PR 本記事にはアフィリエイトリンク(広告)を含みます。広告掲載について

アイテム 公開 約9分で読めます

家族の話し声やテレビ、工事の音で集中できない。研究では、作業の邪魔になりやすいのは人の話し声だとわかっています。ノイズキャンセリング・耳栓・環境音が得意な音と選び方、耳を守る音量の目安をまとめました。

リビングのテレビや話し声から半円のバリアで守られ、ヘッドホンをつけて静かに作業する人のイラスト

在宅ワークは静かな環境で働ける……はずが、実際には家族の話し声やテレビ、宅配のインターホン、近所の工事など、家ならではの音に悩まされることも少なくありません。

この記事では、騒音が作業に与える影響を調べた研究を紹介したうえで、ノイズキャンセリングのヘッドホンや耳栓などの騒音対策アイテムを「どんな音に強いか」という視点で整理します。

この記事でわかること

  • 作業の邪魔になりやすい音と、なりにくい音(242件の研究のまとめから)
  • ノイズキャンセリングが得意な音と、苦手な音
  • 困っている音ごとの、アイテムの選び方
  • 耳を守るための音量と時間の目安

作業の邪魔になりやすいのは「人の話し声」

セントラルフロリダ大学のJames SzalmaとPeter Hancockは、騒音が作業成績に与える影響を調べた242件の研究をまとめて分析しました(Szalma & Hancock, 2011)。このように、たくさんの研究結果を統計的にまとめる方法を「メタ分析」といいます。

分析の結果、影響の大きさを左右していたのは、主に次の3つでした。

  • 音の種類:人の話し声は、話し声以外の騒音や音楽に比べて、作業成績を大きく下げていた
  • 音の出方:ずっと続く音より、途切れ途切れに聞こえる音のほうが邪魔になりやすい(とくに話し声で)
  • 作業の種類:頭を使う作業ほど影響を受けやすく、速さよりも正確さが落ちやすかった

音の種類ごとの影響の大きさは、次のとおりです。効果量(g)はマイナスが大きいほど、作業成績が下がったことを表します。

音の種類作業成績への影響(効果量 g)
人の話し声−0.43(小〜中程度の悪影響)
話し声以外の騒音−0.16(小さな悪影響)
音楽+0.09(はっきりした影響は見られない)

研究のポイント

作業の邪魔になりやすいのは、途切れ途切れに聞こえる人の話し声。頭を使う作業ほど影響を受けやすい。

在宅ワークでいえば、テレビの会話や家族の電話、別の部屋から聞こえるオンライン会議の声などがこれにあたります。

なお、音楽の影響を調べた研究はまだ少なく、著者らもこの点はさらに研究が必要だとしています。また、アイデア出しのような創造的な作業では、ほどよい環境音がプラスに働いたという研究もあります(集中力を高める5つのコツで紹介しています)。

ノイズキャンセリングは「低くて一定の音」が得意

ノイズキャンセリング(アクティブノイズキャンセリング、ANC)は、マイクで拾った周りの音と逆の波形の音を出して、音を打ち消すしくみです。

2025年に人間工学の国際会議で発表されたレビュー(Merwin et al., 2025)では、ANCヘッドホンについて次のように整理されています。

  • 低い音や、一定に続く音を抑えるのは得意
  • 人の話し声のような、高めの音を抑えるのは苦手
  • 周りの音が消えるぶん、かえって話し声がはっきり聞こえてしまうことがある

家の中でいえば、エアコンや換気扇、冷蔵庫、外を走る車の音などが「低くて一定の音」にあたります。一方、家族の話し声やテレビの声は、ANCだけでは消しきれないことが多い音です。

そこで著者らは、ANCに一定のマスキング音を足して、話し声を目立ちにくくする方法を提案しています。マスキング音とは、ホワイトノイズのような、変化の少ない音のことです。まだ提案の段階で、効果が十分に確かめられたわけではありませんが、自宅で試すのは手軽です。

ノイズキャンセリング中に話し声が気になるときは

ノイズキャンセリングをオンにしたうえで、雨音やホワイトノイズなど変化の少ない音を、小さめの音量で流してみましょう。話し声が目立ちにくくなることがあります。

騒音対策アイテムの種類と得意な音

一般に、耳栓やイヤーマフのように物理的に音をさえぎる方法は、低い音より高い音のほうがさえぎりやすい性質があります。ANCとは得意な音がほぼ逆なので、困っている音に合わせて選んだり、組み合わせたりするのがコツです。

アイテム得意な音気をつけたいところ
ノイズキャンセリングヘッドホン(耳を覆うタイプ)低い一定の音。イヤーパッドで覆うので、高めの音もある程度さえぎる重さや蒸れ。夏場の長時間は暑くなりやすい
ノイズキャンセリングイヤホン低い一定の音。耳をふさぐことで高めの音もある程度さえぎる長時間だと耳が痛くなる人も。耳に合うイヤーピース選びが大切
耳栓(フォーム・シリコン)話し声などの高めの音。安くて手軽低い音は残りやすい。会議には使えない
防音イヤーマフ工事やドリルなどの大きな音音楽や会議には使えない。締めつけがある
環境音(アプリ・スピーカー)話し声を目立たなくする音量の上げすぎに注意。スピーカーだと家族にも聞こえる

困っている音別の選び方

エアコン・換気扇・冷蔵庫など「低くて一定の音」

ANCがいちばん効果を発揮しやすい音です。ノイズキャンセリングのヘッドホンかイヤホンを選びましょう。音楽を流さずにANCだけをオンにして、「静かにするための道具」として使うこともできます。

ノイズキャンセリングヘッドホン(耳を覆うタイプ)

おすすめ低い一定の音に強く、イヤーパッドで高めの音もある程度さえぎれる。マイク付きなら会議にも使える。

  • 集中
  • 低い音

ノイズキャンセリングイヤホン

おすすめ小さくて夏場も蒸れにくい。耳に合うイヤーピースを選ぶと、遮音性も上がる。

  • 集中
  • 低い音

家族の話し声・テレビの音

話し声は、ANCだけでは消しにくい音です。次のような方法を組み合わせてみてください。

  • 耳栓や、耳をしっかり覆うヘッドホンで物理的にさえぎる
  • ANCに、環境音やホワイトノイズを小さく重ねる
  • 家族と「集中したい時間帯」を共有して、テレビの音量やドアの開け閉めに協力してもらう

耳栓(フォームタイプ)

おすすめ話し声などの高めの音をさえぎるのが得意。安く試せるので、まずはここから。

  • 話し声
  • 手軽

工事・ドリルなど「途切れ途切れの大きな音」

突然始まって突然止まる音は、慣れにくく、気が散りやすい音です。耳を覆うタイプのヘッドホンや防音イヤーマフで、物理的にさえぎるのが基本です。工事の時間帯がわかっていれば、その時間に会議や細かい作業を入れないようにするのも手です。

防音イヤーマフ

おすすめ工事やドリルなど大きな音に。音楽や会議には使えないので、静かに作業したい時間専用に。

  • 工事の音
  • 大きな音

会議でも使いたい場合

会議と集中作業を1台でこなしたいなら、マイク付きのノイズキャンセリングヘッドホンが便利です。ただし、Bluetooth接続では通話中に音質が下がりやすいなど、会議用としての注意点もあります。マイクの選び方はWeb会議の声をクリアにするマイク・ヘッドセットの選び方で紹介しています。

そのほかのチェックポイント

  • 外音取り込み機能:ボタンひとつで周りの音を聞こえるようにできる機能。家族に呼ばれたときや、インターホンが鳴ったときに、外さずに対応できる
  • 装着感:メガネをかける人は、耳を覆うタイプだとフレームが当たって痛くなることも。できれば店頭で試す
  • バッテリー:1日の作業時間より長く持つか。充電しながら使えるか

耳を守るための音量と時間の目安

騒音を消すつもりで音楽の音量を上げてしまうと、今度は耳への負担が心配になります。

WHO(世界保健機関)とITU(国際電気通信連合)は2019年に、ヘッドホンなどの音響機器についての国際規格を出しました。この規格では、大人が1週間に聞く音の量の目安を「80dBで週40時間まで」としています。

音が大きくなるほど、安全に聞ける時間は短くなります。WHOが示している目安は次のとおりです。

音の大きさ1週間に安全に聞ける時間の目安
80dB40時間
85dB12時間30分
90dB4時間
95dB1時間15分
100dB20分

WHOは、ふだんの対策として次のようなことをすすめています。

  • 音量は最大の60%以下にする
  • 耳に合ったノイズキャンセリングヘッドホンを使い、うるさい場所でも音量を上げずに済むようにする
  • ときどき静かな場所で耳を休ませる
  • 音量を記録したり、上げすぎを防いだりする機能のある機器やアプリを使う

周りの音を抑えられるノイズキャンセリングは、音量を上げずに済むという点で、耳を守る道具にもなります。音楽を流すときは、いつもより一段階小さい音量から試してみてください。

こんなときは早めに相談を

耳鳴りが続く、会話や高い音が聞こえにくいと感じるときは、早めに耳鼻咽喉科で相談しましょう。

まとめ

困っている音おすすめの対策
エアコン・換気扇などの低い一定の音ノイズキャンセリングのヘッドホン・イヤホン
家族の話し声・テレビ耳栓や耳を覆うヘッドホン+小さめの環境音
工事などの途切れ途切れの大きな音耳を覆うヘッドホン・防音イヤーマフ。作業の時間をずらす
会議と集中作業の両方マイク付きのノイズキャンセリングヘッドホン

まずは「自分がいちばん困っている音はどれか」を考えてみてください。低い一定の音ならノイズキャンセリング、話し声なら耳栓や環境音、というように、音に合わせて選ぶのが失敗しないコツです。

参考文献

  1. Szalma, J. L., & Hancock, P. A. (2011). Noise effects on human performance: A meta-analytic synthesis. Psychological Bulletin, 137(4), 682–707. (新しいタブで開きます)
  2. Merwin, E., Dreslin, B., Hayden, A., Bender, M., Aik, M., Butler, T., Robbins, N., & Chaparro, A. (2025). Quiet but not Quite: the Limitations of Active Noise Canceling Headphones in Open Offices. Human Factors and Wearable Technologies, AHFE International, 175. (新しいタブで開きます)
  3. World Health Organization & International Telecommunication Union (2019). Safe listening devices and systems: a WHO-ITU standard. (新しいタブで開きます)
  4. World Health Organization. Deafness and hearing loss: Safe listening (Questions and answers). (新しいタブで開きます)

この記事を書いた人:リモート日和 編集部

リモートワークを快適にする情報を、実体験と信頼できる研究・公的資料にもとづいてお届けしています。 運営者情報・編集方針